結論から言うと、動かせません。Android・iOS版のMetaTrader 4とMetaTrader 5アプリは、EA(エキスパートアドバイザ)を実行できません。カスタムインジケーターやスクリプトも同様です。EAが動くのは、Windowsのデスクトップターミナルのなかだけです。自分のPCか、VPS上で動かします。
だからといって、スマホがアルゴリズム取引に役立たないわけではありません。役割が違うだけです。EAを実行するのではなく、EAが動いているターミナルを手元で管理することがスマホの仕事です。以下では、モバイルアプリにできること・できないこと、そのギャップを埋める3つの方法を紹介します。
MT5モバイルアプリにできること
- 口座、残高、有効証拠金、証拠金の表示
- 保有ポジションと履歴の表示 - 同じ取引口座なので、EAが建てたトレードも含まれます
- 手動での新規注文と決済、ストップロスとテイクプロフィットの設定
- 内蔵インジケーターを使ったチャート表示
- MetaQuotes IDを使ったプッシュ通知の受信
できないこと
- EAの実行、チャートへの適用、削除
- EAの入力パラメータの変更
- デスクトップターミナルの「エキスパート」ログの表示 - EAがなぜ取引しなかったのか確認できません
- EAがチャート上に表示するコメントの表示
- 保存したチャートテンプレートの適用
- デスクトップターミナル自体が動作中で接続されているかどうかの確認
最後の点がもっとも重要です。モバイルアプリが接続するのはブローカーのサーバーであり、あなたのターミナルではありません。夜間にVPSが再起動してEAが止まっていても、モバイルアプリは口座を普段どおり表示します。ただ、新しい取引が入らないだけです。
なぜこうなっているのか
EAはコンパイル済みのMQLプログラム(.ex4 / .ex5)で、デスクトップターミナルの内部で動作します。モバイルアプリはその実行環境を持たない、軽量で独立した取引クライアントです。そのためEAには、常時稼働するWindowsマシンが必要です。自宅のPC、レンタルVPS、またはMetaQuotes内蔵の仮想ホスティングなどです。
スマホから管理する3つの方法
1. リモートデスクトップ(RDP、AnyDesk、TeamViewer)。 デスクトップターミナル全体が見えるので、理屈の上では何でもできます。しかし実際には、デスクトップ用の画面がスマホに押し込まれ、モバイル回線では動作が遅く、RDPの場合はVPSに開けたポートをボットが絶えず攻撃してきます。
2. モバイルアプリとプッシュ通知。 EAがSendNotificationを呼び出せば、MetaQuotes IDを通じてスマホに通知を送れます。ただしこれは監視であって管理ではありません。何かが起きたことは分かっても、EAの停止、ログの確認、設定変更はできません。しかも、EAの作者が通知機能を組み込んでいる場合に限られます。
3. ターミナル自体のためのリモート管理パネル。 これがMTRemoteの役割です。チャート上の小さなEAが、同じPCまたはVPS上のMTAgentとターミナルをつなぎ、管理パネルはスマホのブラウザで開きます。そこから、任意のEAの適用・削除、テンプレートの適用、エキスパートログとターミナルログの確認、EAのチャートコメントの表示、取引まで行えます。RDPは不要で、通信はエンドツーエンドで暗号化されます。

| モバイルアプリ | リモートデスクトップ | MTRemote | |
|---|---|---|---|
| EAの適用 / 削除 | 不可 | 可 | 可 |
| エキスパートログ | 不可 | 可 | 可 |
| ターミナルのオンライン状況 | 不可 | 可 | 可 |
| スマホ画面向けの設計 | 可 | 不可 | 可 |
| VPSのポート開放が必要 | 不要 | 必要(RDP) | 不要 |
実際にはどうすればいいか
- EAは、常時稼働するPCまたはVPS上のデスクトップターミナルで動かします。
- 公式のモバイルアプリは、手早い手動取引や口座の確認用に残します。
- ターミナル自体を確認・管理できる手段を追加します。EAが止まったことに数時間ではなく数分で気づき、どこにいても対処できます。
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